ユーロ誕生から既に20年近くとなります。元々ユーロが誕生した背景には、実体経済の統合と為替相場の安定化があったといわれています。通貨を統合することで参加国は為替変動のリスクに晒されなくなり、通貨交換のコストもなくなります。また、資金調達の規模拡大や域内の商品価格が同一基準で表示されることで、消費が拡大し景気が拡大するなど大きなメリットが期待できました。
しかし一方で、財政政策は各国政府が個別に行っていることで、無理が生じ始めたといえます。
統合前にはそれぞれ独自の通貨を保有し、景気が悪くなれば金利が引き下げられ、通貨が安くなるという「金利と為替のマクロ経済調整」ができていましたが、ユーロを導入した代償としてそれらを失ったわけです。
もし、ギリシャの通貨がユーロではなく元のドラクマのままであったなら、財政の立て直しのために自国通貨のドラクマを安くするといった手段も選択できたことでしょう。
しかし、ギリシャはユーロに参加したことで安いコストで資金調達が可能となり、債務を拡大しました。特にこれといった産業の少ないギリシャは、これらの低いコストで調達した資金を巨額の公共投資につぎ込みました。これが公的部門の肥大化につながり、就業者の4分の1が公務員といわれるようになったのです。
一方、これら域内の消費国に対しドイツなどは輸出を増やしてきました。ギリシャ国内ではドイツなど財政黒字の国に対し、「ギリシャはデフォルト危機に晒されたが、わが国への輸出を増やしたおかげで黒字が増えたのだ」と訴える場面もみられました。
財政赤字が恒常化した南欧諸国に対し、一方では輸出を伸ばし財政黒字を拡大するドイツやオランダなどの北側の諸国との聞の格差が広がったのが今のユーロ圏であり、現在のユーロはこのような弱い国と強い国が同時に存在する通貨です。
ギリシャやスペインといった国の債務が拡大した時にはユーロ売りが強まるものの、同時にドイツやオランダがそれらをサポートする動きでユーロ買いが強まるといった構図が、ユーロのバランスを保っているといえます。
参考になさってください。
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